段の山周辺と滝

段の山周辺と滝に焦点を絞った水の流れを巡る取材となりました。まず段の山ふもとで権現様と呼ばれる巨石が目につき写生を行い周辺を散策、山からの湧水の水量が予想以上に豊かで驚きました。その後、岩石の変化や佇まいに水との関係に思いを巡らせ萬城の滝から上流へ散策、菜畑の滝では水量が少ない分、岩の裂け目を流れる水流を写生することができました。最後に筏場にある山神様の社を伺い、この日の取材は終了となりました。 今回の取材ではあらためて段の山周辺と川の関係や、地質の成り立ちから溶岩だからこそ湧水が豊かになることが実感できました。火(噴火、溶岩)から水という神話でも表される順序に表現のヒントがあるような気がしています。

蛇喰山の崩落跡など

取材当日は雨が降っていたこともあり、蛇喰山の崩落跡では、大きく左右に割れた熔岩流の断面が生々しく映った。それは引き裂かれた身体のようであり、今回のテーマと なっているミズハノメを産んだ、イザナミの体内を覗くようでもあった。崩落跡付近には黒曜石や炭を始め、比較的大きい様々な色の石が転がっており、身体に住む様々な種類の細菌に思えた。 Cliff Edge Projectで受けた環境カウンセラーの塩谷和広さんによるレクチャーで、溶岩は多孔質であるため、水分を多く含み苔がよく育つというお話を伺って以来、苔が豊かな水を示す存在として気になるようになった。椎の巨木には厚みのある苔が随所に見られ、曲がりくねった幹や枝、根が、長年にわたる生命の営みを感じさせた。また近くの杉は樹皮全面が緑青色の苔に覆われ、地面には丸い形をした、生まれて間もない様子の苔が随所に見られた。 次回は火口付近の、多孔質な溶岩を覆いつくす苔の群生を取材したい。

早朝から雨

この日は早朝から雨。霧を霧が出ることも期待しながら出かけたが、思いのほか雨が強く、霧というより雨撮影になった。 山の中でありながら開けた砂防ダムと崩落跡のスケールから崩落当時の濁流の激しさを容易に想像できる。実際に雨の中だったこともあり、降り続く雨の音に恐怖も感じる。 砂防ダム上流に流れる小さな流れは長靴で渡れるほどの浅さ。まだ穏やかに降った雨が集まっていく様子はとても穏やか。そこでしばらくのあいだ雨の小川の影。 サワガニを見つけ川上に進むと、川の中に一つの骨を見つけた。鹿かイノシシのものと思われる。姿を見せずともどこかから山の動物がこちらの様子をうかがっているようで、こちらが訪問者であることを感じる。 場所を変えていくうち、ざっと降った雨が落ち着くと時折遠目に霧が出始めた。 天城の雨が染み込むような山の音が以前屋久島で感じたものと似ているように感じた。 もう少し雨を撮影してみようと思う。