蛇喰山の崩落跡

蛇喰山の崩落跡

取材当日は雨が降っていたこともあり、蛇喰山の崩落跡では、大きく左右に割れた熔岩流の断面が生々しく映った。それは引き裂かれた身体のようであり、今回のテーマと なっているミズハノメを産んだ、イザナミの体内を覗くようでもあった。崩落跡付近には黒曜石や炭を始め、比較的大きい様々な色の石が転がっており、身体に住む様々な種類の細菌に思えた。 Cliff Edge Projectで受けた環境カウンセラーの塩谷和広さんによるレクチャーで、溶岩は多孔質であるため、水分を多く含み苔がよく育つというお話を伺って以来、苔が豊かな水を示す存在として気になるようになった。椎の巨木には厚みのある苔が随所に見られ、曲がりくねった幹や枝、根が、長年にわたる生命の営みを感じさせた。また近くの杉は樹皮全面が緑青色の苔に覆われ、地面には丸い形をした、生まれて間もない様子の苔が随所に見られた。 次回は火口付近の、多孔質な溶岩を覆いつくす苔の群生を取材したい。

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