【中間報告】荒木佑介、伊藤允彦、BACCO

「CLIFF EDGE PROJECT うぶすなの水文学」リサーチプログラム 中間報告

氏名:荒木佑介、伊藤允彦、BACCO

形式:動画(4本〈11:02, 7:14, 5:06, 9:02〉)、地形図、ストリートビュー

   ◎2022 年 5 月 21 日 貴僧坊調査 塞の神編 ①
     https://www.youtube.com/watch?v=IgCjWx7aqng
   ◎2022 年 5 月 22 日 貴僧坊調査 塞の神編 ②
     https://www.youtube.com/watch?v=E167xdKsJOY
   ◎2022 年 6 月 17 日 貴僧坊調査 塞の神編 ③
     https://www.youtube.com/watch?v=O8w49hObYVg
   ◎2022 年 6 月 18 日 10 月 15 日 12 月 18 日 貴僧坊調査 天狗伝説編
     https://www.youtube.com/watch?v=Fpo721mMvqY
   ◎八丘地区地形図
     https://1drv.ms/u/s!AsjTJt1VRhjzpyILS6H-RDMYVEo9?e=LBW7th
   ◎調査地区ストリートビュー
     https://www.mapillary.com/app/?pKey=158572082888341

火伏=天狗信仰についての調査

畑中氏は、レクチャーにおいて火伏信仰を強く感じたと言われていた。これまで、湧水のカミの姿を追い、ゴンゲンサマや塞の神を探してきたが、水の信仰と近しい、火伏=天狗信仰についても調査するため、まず中伊豆図書館にて文献調査を行い、(1)原保の竜爪信仰にて当時参拝していた湯ヶ島青羽根の竜爪神社(2)原保(山)から伊東(海)へと至る道中に出現した天狗の詫び状を対象とした。

柏峠で気になったのは、馬頭観音の形状だ。これまで大見川流域周辺で確認した馬頭観音と異なり、ここでは神像に近い形状をしている。
「山地住民における宗教文化の展開過程」(萩原竜夫、千葉徳爾、明治大学人文科学研究所紀要、1988)において、「山の神の姿、形、それが男であるか女であるか、といった問題は、実はそれを祭祀する修験や巫女たち自身の姿や形であったろうとみることによって説明できる。」とされている。
大見川流域周辺の天狗信仰を調べてみると、その起因は当該流域に隣接する森林における材木伐採の山掃除の残火による森林火災と想定され、大見川流域の境界で多く見られる。天狗とは、火伏せの神でもある。

原保地区の住民が参拝していた竜爪神社はその名のとおり弾除けの竜爪信仰の神社であるが、元を辿れば、火伏せ=天狗信仰とも捉えられる。
竜爪神社は山頂にあり、当日は風が強く、まさに天狗が現れそうな空間となっていた。

大見川流域とその周辺の境界に、火伏せの祈りと共に天狗は現れる。その姿は、きっと大見川流域の人々が森林を守りこれからも生きていくための祈りの姿なのであろう。

段の山の土地利用について調査

段の山の土地利用について調査。現在では、多くの箇所が原木しいたけのほだ場になっていた。恐らく、かつては棚田として利用されていたのだろうと予測して調査したが、石積の後等を見つけることはできなかった。
段の山周辺にはあまり賽の神が見られない。子どもを対象とした信仰が根付く地と、大人を対象とした信仰が根付く地、八岳地区には、その2つの境界が明確に存在するように感じた。時期的に彼岸花が咲き誇っており、水による境界が彼岸花によって可視化されていた。この地には、水による境界と併せ、大人と子どもの境が存在しているのではないか。

また、萬城の滝の奥にある山神社は、巨石を利用した祠があった。八岳地区に時々見られる祠の型体で、溶岩石の形状を造形に利用していることが興味深い。
このように石造物を調査している中で、軽石を利用した石造物が多いことに気付く。加工しやすいとともに、壊れやすい。だからこその現在の造形がある。