蛇喰山崩落跡他

雨は降っていないが重たそうな曇り空。第三堰堤。自生していたアケビをいただく。
ほんのりのずいぶんと久々な甘さ。前回ここを訪れたのは雨の降っていた時。川の流
れに雨が落ちて、ほんの少し川の水が増えることを肌で感じるような場所だった。今
回は前日の雨が濡らした黒曜石のガラス質が微妙に光をはね返している。濁流によっ
てつくられた大きな山の割れ目に自然の脅威を感じながらその間を登っていくと、崩
れそうな土を繋ぎ止めるように木の根が張り出している。根よりも下から木と空を見
上げる。空がすごく近い。椎の巨木。3 度目にして初めて雨が降っていない。木の間
から差す光が、あちこちに出来はじめた小さな苔をやわらかく照らす。萬城の滝。滝
近くの断崖を見上げる。火山の面白さをそのまま肌で感じる岩の姿は、長い年月とい
うより不思議と新鮮さを感じた。15 時頃、ようやく日が差しはじめた。

萬城の滝、大見城址

台風で水量が増していることを期待して、萬城の滝に向かった。やはり普段以上に音も反響している。滝まで向かう階段の途中からすでに滝からの細かいしぶきが舞っている。はっきりと目に捉えられるぎりぎりの大きさの粒が、滝つぼから逆流して一帯に広がっていた。その粒をとらえられるようカメラを設置。一帯に舞う粒と滝壺の水面の撮影を行った。水の中での撮影の為時間勝負だったが、非常に面白い滝の表情に出会えた取材になった。大見城址の本丸からの眺めは、ここに城をおいたことが納得の見晴らしの良さ。思いの外急角度に登る道が時に適度に道の行く先を遮る。ここからの遠景が霧につつまれ遮られるのを見たいと思った。季節、天気、時間を変えて、またここの変化を追いながら撮影を行っていく。

早朝から雨

この日は早朝から雨。霧を霧が出ることも期待しながら出かけたが、思いのほか雨が強く、霧というより雨撮影になった。 山の中でありながら開けた砂防ダムと崩落跡のスケールから崩落当時の濁流の激しさを容易に想像できる。実際に雨の中だったこともあり、降り続く雨の音に恐怖も感じる。 砂防ダム上流に流れる小さな流れは長靴で渡れるほどの浅さ。まだ穏やかに降った雨が集まっていく様子はとても穏やか。そこでしばらくのあいだ雨の小川の影。 サワガニを見つけ川上に進むと、川の中に一つの骨を見つけた。鹿かイノシシのものと思われる。姿を見せずともどこかから山の動物がこちらの様子をうかがっているようで、こちらが訪問者であることを感じる。 場所を変えていくうち、ざっと降った雨が落ち着くと時折遠目に霧が出始めた。 天城の雨が染み込むような山の音が以前屋久島で感じたものと似ているように感じた。 もう少し雨を撮影してみようと思う。