Overview

Overview 概要

Cliff Edge Project 2022 うぶすなの⽔⽂学リサーチプログラム


取材期間 2022年5⽉1⽇(⽇)〜 2⽉28⽇(⽕)
取材地 静岡県伊⾖市貴僧坊地区ほか周辺地区を中⼼とした⼤⾒川流域(狩野川も含む)
主催 Cliff Edge Project
⽀援 アーツカウンシルしずおか
後援 伊⾖市教育委員会、⼀般社団法⼈美しい伊⾖創造センター
協⼒ ⼀般社団法⼈平成森鮮組、NPO法⼈ステキなごえん

伊豆半島中部にそびえる天城山系は、全国でも屈指の年間降雨量を誇る山地です。 昭和33年に伊豆半島を襲った狩野川台風で降り続けた大雨は、天城山中腹の火山、カワゴ平の噴火由来の堆積物でできたもろい地形を崩し、麓の筏場地区にある蛇喰山の崩壊を招くなど、多くの災害をもたらしました。 この災害の記憶は、 台風から65年経った今でも地域の人々に語り継がれています。 水は、多くの恵みをもたらす反面、 このような災いをもたらします。

天城火山の麓にある貴僧坊水神社には、水の神ミヅハノメが祀られ、 周辺地域には、川や道の重要な箇所に塞の神の姿が見られます。 これらの神々は、 土地を守る産土神(うぶすながみ)として祀られており、人々の信仰として大切にされてきました。 貴僧坊の周辺地域では、地下に蓄えられた水がいたるところで湧き、地場産業のわさび栽培などに利用されてきました。特筆すべきは、貴僧坊水神社のわさび田です。ここでは、神社から湧き出る湧水で地域の氏子の方々がわさびを栽培しています。

伊豆半島の水の循環に目を向けると、 海や地表から湧き上がった雲が、 天城山で雨雲となり、強烈な雨を降らせ、その雨は地表を流れるもの、地中を流れるもの、 さまざまな経路でやがて川へと注ぎ、 川は、 伊豆半島を北上する狩野川へとつながり、 蛇行しながら駿河湾へと注ぎます。 そして水はまた雲となって天城山へと上っていくというサイクルが繰り返されています。 地球上に14億立方キロメートル存在すると言われている 「水」は、地球的な規模で循環しています。 人々は、水の循環の中に見られる様々な水の現象に、目に見えない神の存在を見いだしてきたのではないでしょうか?

水の発生、移動、分布、性質、環境関係などの多様な水のありようを扱い、科学的に分析する学問として水文学 (すいもんがく)があります。 このアートプロジェクトでは、水の多様な姿を水文学ならびに貴僧坊地区周辺で祀られている神々の存在と結びつけ、この地域の多様な水環境が生み出す、 地質地形、神話、 災害をアートの視点で捉え直します。
7組のアーティストたちは現地を取材し、それに基づいて作品を制作して美術展という形で発表します。美術展は、2023年10⽉〜11⽉に貴僧坊及び周辺地区の会場を使って開催されます。それに先駆けて2022年度には、約1年をかけて出展アーティストたちが、これらの地区を取材します。また、制作に役⽴つ内容のレクチャーを関係する分野の講師を招いて⾏います。1年の成果は、2023年の展覧会にむけての中間報告によって発表されます。これらはアーカイブとしてオンラインで公開されます。

アーティストに向けたリサーチプログラムのプロセス


1.Introduction 導入

⾃然科学、地場産業、地域における⼝承⽂学などにまつわるレクチャーをオンラインで視聴していただき⽔⽂学のこと、展覧会開催地域のことを知ってもらう。

2.Research アーティストによるリサーチ

展覧会開催地域の取材によって、地域の⾵⼟を知り、作品の構想を練ってもらう。

3.Application course 応⽤講座

災害⺠俗学、フィールドワークから制作される芸術、水環境の保護などにまつわるレクチャーをオンラインで視聴していただき、展覧会開催地域で作品制作を⾏うことの意義を知ってもらう。

4.Interim report アーティストによる中間報告

アーティストトークまたはワークショップ、パフォーマンス、演奏のような形式での発表。

アーティストは、月に1回開催のレクチャーを受けながら、展覧会開催地域の取材を重ね、2023年に開催される美術展に向けた作品プランを練り、その中間報告を年度の最後に行うものとする。

レクチャー講師:塩谷和広氏(環境カウンセラー)、井上亘氏(わさび専業農家)、浅野友子(水文学者)、鈴木雄介(地形・地質の便利屋)、畑中章宏(民俗学者)、松本圭司(地域雑学)、山下隆(林業)、白井ゆみ(環境活動家)