萬城の滝、貴僧坊水神社、大見城址

まだ日の出時間前の薄暗い萬城の滝。外気温は 10 度を下回る。近くに森の生き物がいそうで緊張感もある。今日の滝壺はとても穏やか。薄暗いせいか滝壺の音も細かく落ち着いて聞こえる。
貴僧坊水神社。
9 月のはじめに植えられたという小さいわさびの葉が、元気に山を背にして並んでいるのが、何とも微笑ましい。まだ葉が小さく水面に写りこむ葉の姿が面白く撮影に時間をとる。
大見城址。
山頂本丸まであがると、麓を流れる大見川を流れる音が山に響いて大きく聞こえる。前回数えられないほど飛んでいたトンボは全くいなくなり、揺れるすすきに変わっていた。霧に包まれる大見城址を訪れたいと思っているが、まだ叶っていない。

蛇喰山崩落跡他

雨は降っていないが重たそうな曇り空。第三堰堤。自生していたアケビをいただく。
ほんのりのずいぶんと久々な甘さ。前回ここを訪れたのは雨の降っていた時。川の流
れに雨が落ちて、ほんの少し川の水が増えることを肌で感じるような場所だった。今
回は前日の雨が濡らした黒曜石のガラス質が微妙に光をはね返している。濁流によっ
てつくられた大きな山の割れ目に自然の脅威を感じながらその間を登っていくと、崩
れそうな土を繋ぎ止めるように木の根が張り出している。根よりも下から木と空を見
上げる。空がすごく近い。椎の巨木。3 度目にして初めて雨が降っていない。木の間
から差す光が、あちこちに出来はじめた小さな苔をやわらかく照らす。萬城の滝。滝
近くの断崖を見上げる。火山の面白さをそのまま肌で感じる岩の姿は、長い年月とい
うより不思議と新鮮さを感じた。15 時頃、ようやく日が差しはじめた。

萬城の滝、大見城址

台風で水量が増していることを期待して、萬城の滝に向かった。やはり普段以上に音も反響している。滝まで向かう階段の途中からすでに滝からの細かいしぶきが舞っている。はっきりと目に捉えられるぎりぎりの大きさの粒が、滝つぼから逆流して一帯に広がっていた。その粒をとらえられるようカメラを設置。一帯に舞う粒と滝壺の水面の撮影を行った。水の中での撮影の為時間勝負だったが、非常に面白い滝の表情に出会えた取材になった。大見城址の本丸からの眺めは、ここに城をおいたことが納得の見晴らしの良さ。思いの外急角度に登る道が時に適度に道の行く先を遮る。ここからの遠景が霧につつまれ遮られるのを見たいと思った。季節、天気、時間を変えて、またここの変化を追いながら撮影を行っていく。